どうして打起しで「羽引き」を行う必要があるのか

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羽引きには大切な意味がある!

どうして打起しで「羽引き」を行う必要があるのか

射法八節の四節「打起し」の中には、細かい動作がいくつも含まれています。

 

今回取り上げたいのは、打起しの途中で行う「羽引き(?引き)」という動作についてです。

 

打起しで矢をつがえると、握(弓?)の部分に矢の羽部分がかかった状態になってしまいます。

 

次の動作に移る前に、羽を少しだけ引いて握からズラしておく動作のことを「羽引き」と言います。

 

ちなみに羽を引くから「羽引き」と書く場合と、弓?の部分から引くから「?引き」と書く場合がありますが、どちらも全く同じ動作で、読み方も同じ「はびき」です。

 

現代弓道においては、ほとんどの流派で、この羽引きという動作を行っていると思います。

 

しかし実は、打起しの動作の中で羽引きが重要視され始めたのは、割と最近のことだとも言われており、その起源はハッキリとしていません。

 

諸説ありますが、日本古来の伝統的な弓術に、羽引きという発想は無かったという話さえあるのです。

 

羽引きという動作は、ある意味で「現代の弓道に即した技術」であると考えることができるでしょう。

 

では、どうして昔は影も形も無かった「羽引き」という動作が、現代の弓道で重要視されるようになったのでしょうか。

 

それは、羽引きという動作に「3つのメリット」があると考えられるからなのです。

 

羽引きのメリット1.羽を傷つけない

羽引きを教えている流派の多くは、そのメリットについて

  • 「羽を傷つけずに済むから」

と教えていると思います。

 

特に、学校の部活などで弓道を行っているところでは、そのように指導しているところが多いでしょう。

 

確かに、羽を傷つけないというのは羽引きを行う上での大きなメリットのひとつです。

 

要するに「道具の保護」という観点から生まれるメリットですね。

 

羽引きを行わずに打起しを行い続けると、弓摺羽(ゆずりば)のすり減りが早くなってしまいます。

 

「弓に摺る羽」と書くだけあって、弓摺羽は弓との摩擦で徐々に傷んでくるものです。

 

正しく羽引きを行っていれば、弓摺羽の摩耗を最小限に食い止めることができますが、羽引きをおろそかにしていると弓摺羽はすぐにダメになってしまいます。

 

 

羽引きのメリット2.肘の角度の確認

意外と知られていないのが、羽引きを行うことで

  • 「肘の角度の確認」

を行うことができるという点です。

 

ここからが、羽引きが単なる道具の保護のために行われているわけではないという所以になります。

 

初心者は手先の力で羽引きを行ってしまいがちですが、本来は

  • 上体と肘の角度を調整することで羽引きを行うのが正解

です。

 

羽引きで引く矢の長さはほんの1p程度なので、わざわざ手で引かなくても少し肘を曲げて上体を張るだけで、弓摺羽を握から遠ざけることができるのです。

 

ほんのわずかですが、このときに弓を引き分けることで馬手に力が入り、その後の動作に移行するための準備を整えることができます。

 

弓を引き分けながら肘の曲げ具合を確認し、力の入れ具合と方向のバランスを調整することが可能になるのです。

 

羽引きのメリット3.取懸けを安定させることができる

羽引きを行うと、わずかに?の帽子が引っ張られることに気付くと思います。

 

実はこれが羽引きのメリットのひとつですので、決してこの感覚を見逃してはいけません。

 

?の帽子が引っ張られるということは、つまり

  • 「掛かり具合を確認することができる」

ということです。

 

枕のかかり具合は最適か、?の帽子の方向は正しいか、取懸けの具合を確認することができるのです。

 

細かい部分ですが、羽引きの際にこうしたチェックを行うかどうかで、取懸けの安定度が全く違ってきます。

 

つまり羽引きは、本格的に引分けに入る直前の「予備動作」のようなものだといえるわけです。

 

または、引分けに移行しても大丈夫かどうかを、逐一確認するための「チェック項目」のようなものだとも言えますね。

 

打起しを行う際には、キチンと羽引きを行って馬手の感覚を確かめておきましょう。

 

 

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