首の使い方が足踏みの練度を高める

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足踏みを行うとき「体重の乗せ方」を意識していますか?

首の使い方が足踏みの練度を高める

射法八節のなかで、最も最初に行う動作である「足踏み」。

 

足踏みは、その後の胴造りを行うための土台でもあり、いわば基礎中の基礎ともいえる動作です。

 

もしも足踏みを疎かにしていれば、その後の射すべてに影響を及ぼし、的中率を著しく下げる原因となりかねません。

 

足踏みを修得するために必要な要素は大きく分けて、

  1. 角度
  2. 重心
  3. 広さ

の3つがあります。

 

今回は、このなかでも

  • 「重心」

に関するポイントについて解説していきましょう。

 

弓道の指南書などを読んでみると、足踏みに大切な要素として漠然と「重心を置く」と説明されていることがあります。

 

「重心を置く」というのは簡単に言えば「体重の乗せ方」のことを指します。

 

足踏みを行うにあたり、体重をどこに乗せるかを意識することが大切だといっているのです。

 

拇指球に「無理やり」体重を乗せても意味がない!

足踏みを行う際、体重は「拇指球(ぼしきゅう)」に乗せる必要があります。

 

拇指球とは、足の親指の付け根にある膨らんだ部分のことです。

 

弓道においては重要な部分なのですが、初心者にとってはあまり耳慣れない言葉かもしれませんね。

 

一般的には「体を少し前に倒すと拇指球に体重が乗りやすい」と指導されます。

 

確かに間違ってはいないのですが、このイメージは決して適切であるとはいえません。

 

というのも、初心者は「体を少し前に倒す」と言われると、やや前かがみになって姿勢が崩れる傾向にあるからです。

 

また、姿勢をキープしようとして足に力が入ってしまい、無理に拇指球に体重を加えようとしてしまう方もいます。

 

「拇指球に体重を乗せる」というのは、あくまで

  • 「完璧な姿勢をとると自然に拇指球に体重が乗る」

という話です。

 

姿勢がままならない状態で、無理に拇指球へ力を加えても意味がないどころか、さらに姿勢が崩れる原因になりかねないということを、覚えておきましょう。

 

 

自然に体重が乗る「首の使い方」

多くの人が、足踏みの練習の順番を間違っています。

 

本来なら

  • 「拇指球に体重を乗せる練習をする」

のではなく、

  • 「正しい姿勢を練習をすると拇指球に体重が乗る」

というプロセスを踏むべきなのです。

 

足踏みの練習における目的は「体重の乗せ方を学ぶ」ことであり、拇指球に体重が乗るというのはあくまで結果にすぎません。

 

では、どのようにすれば、自然に体重の乗せ方を学ぶことができるのでしょうか。

 

これはかなり意外に思われるかもしれませんが、実は

  • 足踏みを修得するためには「首の使い方」を考える必要がある

のです。

 

足踏みの姿勢をとったら、首をまっすぐ上に伸ばし、両肩を楽にしたまま下に落とします。

 

この動きが自然にできるようになると、上半身に無駄な力が入ることがなくなり、足の裏全体に均等に体重が加わるようになります。

 

これは人体の構造を考えると当然のことで、首を伸ばすことで力がまっすぐ下に加わるようになり、体重が分散しずらくなった結果なのです。

 

足の裏全体に均等に力が加わるようになると、自然に拇指球に体重が乗ります。

 

そもそも拇指球は、足裏にかかる衝撃を分散するクッションのような役割を果たしているため、姿勢さえ正せば無理をせずとも自然に体重がかかる構造になっているのです。

 

 

首の使い方は古来から重要視されてきた

弓道において、首の使い方は古来から重要視されてきた大切な要素です。

 

明治時代から昭和初期にかけて活躍した弓道家・梅路見鸞は、「頭居」という考え方を残しています。

 

頭居は足踏みから胴造りにかけての

  • 「頭の置き方」

を重要視した考え方で、これを守ることでごく自然な重心の置き方ができるとしていました。

 

弓道を離れれば、宮本武蔵の書いた五輪の書や、古来の琉球空手の文献などでも

  • 首の使い方が重心を操るカギ

だと解説されています。

 

日本古来の武道において重心は非常に重要な要素であり、それをマスターするためには、首の使い方を知ることが大切だというのは周知の事実だったのです。

 

西洋のスポーツや武術が入り混じるにしたがって、薄れつつあった考え方ですが、首の使い方の重要性は近年になって再確認されています。

 

今後、弓道の世界でも首の使い方ひとつが、勝敗を分ける時代が再びやってくることでしょう。

 

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