アーチェリーにも「射法八節」がある!?射形について

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【アーチェリーの射法は弓道の「射法八節」によく似ている】

アーチェリーにも「射法八節」がある!?射形について

全日本アーチェリー連盟は、アーチェリーにおいて一本の矢を放つまでの一連の動作を、8つに分解することを推奨しています。

 

矢を放つまでの動作を8つに分解する…と聞いて、弓道の「射法八節」を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。

 

実際、アーチェリーの一連の動作は、弓道の射法八節とソックリなんです。

 

アーチェリーの動きが、弓道の射法八節に似ているのは決して偶然ではなく、アーチェリーが日本人にも馴染みやすいよう、わざと似せられたものです。

 

その証拠に、

  • アーチェリーの動作を8つに分解するという考え方を持っているのは、世界中でも日本だけ

であり、他の国では各々が打ちやすいスタイルで、自由にやって良いことになっています。

 

アメリカやヨーロッパではアーチェリーを「ハンティングスポーツ」として扱うことが多いため、海外のアーチャーは日本人のように、丁寧な射法を守ったりはしません。

 

そのため国際大会などでは、全日本アーチェリー連盟が指定する射法を守る必要は無いのですが、日本独特の射法をなぞることにはちゃんとメリットもあります。

 

大きなメリットとしては、

  • 「初心者でも動きの基本が掴みやすい」
  • 「弓道から転向してきた選手に馴染みやすい」
  • 「大まかなコツを理解しやすい」

…などが考えられますね。

 

最初からある程度自由にやるのも悪くはありませんが、基礎を固める意味でも、アーチェリーの射法は学んでおいたほうが良いでしょう。

 

そこで今回は、アーチェリーの射法八節ともいえる、8つのプロセスを簡単に解説していこうと思います。

 

アーチェリー歴の浅い初心者の皆さんは、以下の8つを覚えて的中率の向上に役立ててみてください。

 

【1.スタンス】

最初に行うのは「スタンス」と呼ばれる動作。

 

弓道の射法八節においては「足踏み」に相当するプロセスです。

 

シューティングラインを中心にして、両足のつま先が的の中心と一直線になるように直立してください。

 

このとき、足と足の間隔を自分の肩幅と同じくらいの広さにしておくと、重心が安定しやすくなります。

 

足は、ほとんど平行にしておくのが望ましいですが、立ちにくければ少しハの字に開いても構いません。

 

 

【2.セット】

次に、「セット」と呼ばれる動作に入ります。

 

セットは射法八節で例えるなら「胴造り」に相当する動作です。

 

とはいっても、弓道の胴造りほど複雑な動作ではありませんので、初心者でもすぐに馴染めると思います。

 

スタンスを取った状態のまま、両肩を落として体の重心を低くします。

 

こうすることで、弓を引くときにも体がブレさせずに、安定した射を行うことができるようになります。

 

【3.ノッキング】

重心を安定させたら、次に「ノッキング」に入ります。

 

ノッキングは「矢つがえ」とも訳されますが、射法八節では「弓構え」に相当する行為です。

 

矢をレストの上に置き、そのままノッキングポイントにはめ込みます。

 

引き手の人差し指と中指でノックを挟み、人差し指・中指・薬指それぞれの第一関節に弦をかけてください。

 

あとはグリップを軽く握り、顔を的の方向に向ければOKです。

 

ただしこのプロセスには個人差があり、人によってやり方が大きく異なります。

 

そのため、上記のやり方が難しいと感じたら、いろいろ試行錯誤して自分に合った方法を見つけてください。

 

【4.セットアップ】

ノッキングが完了したら、次に「セットアップ」に入ります。

 

セットアップは、射法八節でいうところの「打ち起こし」に相当する動作です。

 

ただし、アーチェリーのセットアップは、そこまで複雑な動作を必要としません。

 

弓道の打ち起こしのように、細かい角度まで気にしなくてよいので、とりあえず「弓と矢を持って両腕を上げる」ということができていればOKです。

 

【5.ドローイング】

次はいよいよ弓を引く「ドローイング」に入ります。

 

ドローイングは、射法八節でいうところの「引き分け」に値するプロセスです。

 

大雑把に言えば「弓を引きわける動作」なのですが、アーチェリーではこの段階が一番複雑だったりします。

 

ドローイングはさらに「アンカリング」「ホールディング」「エイミング」などのプロセスに分解されることも多いので、それぞれの動作もしっかり学んでおいたほうがよいでしょう。

 

 

【6.フルドロー】

的中率を上げるために、最も重要な動作のひとつが「フルドロー」です。

 

フルドローは射法八節で言うところの「会」にあたる動作ですね。

 

要するにフルドローは、引き分けが終わり、狙いを研ぎ澄ませるための行程です。

 

弓を引き分けてすぐに離してしまうと狙いがブレますが、フルドローで集中力を最大限に高めることで的中率を上げていきます。

 

考え方は異なりますが、フルドローは海外のアーチャーたちにも重要視されるプロセスです。

 

【7.リリース】

フルドローで集中力をMAXまで高めたら、いよいよ「リリース」を行います。

 

リリースは射法八節でいうところの「離れ」に相当する動作です。

 

ありていに言えば、リリースは「矢を飛ばす動作」のことですね。

 

フルドローで最大限に溜め込んだ力を解放し、矢を的に向かって飛ばします。

 

指先に込めた力をどう抜くかが、的中率にも大きく影響してきます。

 

【8.フォロースルー】

矢を放ったら、最後に「フォロースルー」を行います。

 

射法八節でいうところの「残身」にあたるプロセスです。

 

リリースを行った姿勢を、数秒間キープし続けることをフォロースルーといいます。

 

キープする時間に明確な決まりはありませんが、矢が的の位置に届くくらいまで姿勢を保つのが一般的です。

 

海外では、フォロースルーはリリースの一部だとされていることもあります。

 

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アーチェリーの射形の解説動画

 

 


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